役者、緒方拳さんが亡くなった。僕が役者からもらった唯一の色紙が緒方拳さんだった。独特のギクシャクした文字で、僕の名前と、緒方さんの名前が書いてある。よくある〝読めないサイン〟ではなく、よく読める楷書体の文字で書かれたサインである。個人的に何かがあったわけではないが、ある時、チャンスがあって書いてもらった。…、71歳!、とにかく気になる役者だった。
沢山の映画にも出演されたが、松本清張原作の『砂の器』で、善良で正義感に満ちた警察官…善良で正義感に満ちていたために、人を追い詰めてしまった…の役を熱演しておられたのが、僕には最も印象に残っている。
残念だったのは、生の芝居を一度も観る機会がなかったことだ。元々舞台役者である緒方さんの舞台芝居を観なかったことは、本当に申し訳ない気分である。
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