現実に直面するということ

  人を援助する仕事をしていると、よく問題に直面してどうしようもない状況の人を評して、「この人は現実に直面できなくて、いつも避けて避けて生きてきたので、そのつけが今一気に溢れてきていると言うことができる」とか言う人がいる。自分もそんな評論家風な発言をしたことがあるように思う。

　今の自分が正にその「この人」状態だと思う。人にものが頼めなくて、何でも自分でやろうとして、結局overflowしてしまって、そして多くの人に迷惑をかけるというのが自分の問題を引き起こす一般的パターンだと思う。ゲームのようにリセットができたらどれだけ良いだろうかと思う。徳政令のように、「ご破算で願いましては…」とやり直せたらどれだけ良いだろうかと思う。人生リセットできたらどれだけ良いだろうかと思う。

　僕たちの人生、一回きりの人生の「裏側」に、リセット人生のコースが一回だけ用意されていて、希望する人にはもう一度やり直せる世界があったらどうだろうか。その世界はやり直しの人ばかりによって成り立っている世界で、やり直しの人生であることを皆自覚していて、誕生から昇天までをもう一度チャレンジ出来るのだとしたら、一体どんな世界がそこでは展開されるだろう。やはりそこでも犯罪や裏切りや紛争があるのだろうか。やはりそこでも核戦争があるのだろうか。

　こんなことを考える時間があるなら、迷惑をかけている目の前の仕事を一つでも片付けることが、今私に求められていることであるというのに…。