今日、31日の東京新聞朝刊に「児童虐待防止に親権制限 養護施設長権限が優先」という見出し。「児童虐待防止のための親権制度研究会」が来月まとめる報告書の概要が公表されたようである。子どもを守り、虐待する親を支援する根本的な制度設計が必要だと思う。
僕は今年の10月から、およそ5年ぶりに児童養護施設に関わる役割を持つことになった。月に1回ペースのささやかな関わりではあるけれども、5年の時間が経過して感じることは、子どもたちの状況がますます深刻度を増しているように思えることだ。つまり心に深い傷を負った子どもや、発達障害系の障がいを疑わせる子どもたちが増加しているように思う。1か所の施設だけで軽々に判断はできないけれども、職員の方々の負担のさらなる増加を思わざるを得ない。
児童養護施設は養護に欠ける児童に衣食住を提供するという役割を果たすだけの施設ではなく、日常的に身の回りの世話をするという関わりを続けながら、同時に治療的な取組みを継続しなければならない、その様な働きを職員に求めている施設だと思う。また、親や、関係機関や、地域社会との連携も不可欠な役割だと思う。つまり、ケアワークを実践しながら同時にソーシャルワークの実践をするという役割である。他の専門職と連携しながら、今まで以上に子どもたちと個別に関わる時間を多く持つことが求められているのだと思う。週に一度や、月に一度やって来て治療的な取組みをする専門職ももちろん存在することはマイナスではないが、やはり日常的に子どもたちと関わりつつその様な取組みが出来ればそれに越したことはない。そのためには、あまりにも職員配置が少な過ぎる。子育ての経験も乏しい若い職員が、いきなり10人以上の子どもたち…それぞれに深刻な課題を背負っている子どもたち…と1人で関わる大変さを想像してもらいたいと思う。(学齢期の子どもの場合、確か子ども6人に職員が1人の配置であったと思う。ところがこれは24時間支援が前提なので、職員は1日8時間前後の勤務が原則であるから、現場では職員1人に子どもが10人以上ということも日常的になっている。2人勤務していても、1人が保護者会への参加や、通院の付き添いをするだけでもう大ピンチである。)
思春期の自分の子ども一人でも対応に苦しんでいる親は沢山いる。そこから想像するだけでもこの仕事の大変さがわかる。
職員がゆとりを持って働ける日常の支援環境が前提にならないと、子どもたちの穏やかな発達支援はできないと痛感させられる。
僕が学生時代に児童養護施設の子どもたちと大晦日を共に過ごした約40年前の時代と、職員配置基準は基本的に変更になっていないという事にただただ驚かされる。
専門教育を受けた職員が、ある程度ゆとりを持って子どもたちと対応でき、18歳になるまでの猶予期間に内外の専門家のアドバイス等も参考にしながら治療的な取組みが出来るような制度設計が不可欠だと思う。
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