☆ このところの移動時に、遠藤周作の『哀歌』と、藤沢周平の『闇の傀儡師・上』と、同じ本の『下』と、計3冊の文庫本を呼んだ。全く異なるジャンルの本を入り乱れて読むと言うのは、文字通り乱読と言うのだろう。乱読と言うほど数多く読んでいるわけではないが、つい次々と文庫本を買ってしまって、ボチボチ読んでしまっている。
☆ 遠藤周作の『哀歌』は、有名な『沈黙』を書くための予備的な作品として書かれたようで、作者自身の後書きにそのように書いている。登場する主人公の特徴と、その人物に託した作者の意図は、解説を読むまでもなく、それなりに理解できるのだけれど、「弱き者」がこれだけ続くと、ちょっと辟易とした気分にさせられる(-_-;) 昨年、雲仙地獄を訪ねて、あれこれと想像したけれど、自分のこととして想像するとあまりにも辛く、無惨にこの世での生命を終えさせられた人々の無念の思いが迫って来るように思えた。もっとも、これは自分の想像力の問題で、実際はもっと異なるものだったのかも知れないが…。遠藤周作の長編小説は大概読んでいると思うが、今回の短編集も、一つのテーマを追い続ける作者のこだわりを読めたと思う。
☆ 一方、藤沢周平の時代小説は、どれも僕を異次元の世界へ連れて行ってくれる。ページをめくった瞬間に日常の雑事の全てを忘れさせてくれる! 気分転換に無くてはならないアイテムであり、藤沢周平という作家の物語作家としての驚異の能力に驚きと感謝の気持ちを捧げたい。
☆ クライストチャーチのその後の状況は、厳しい現実が迫ってきているようで、ニュースを見る度に心がふさぐ。 僕が2度宿泊したWindsor B&B Hotel は、お客もスタッフにも怪我人は無かったようだけれど、営業は停止しており、予約客に連絡を求める書き込みがホームページになされていた。被害に遭われた人達のことを思う…。
コメント