入院してどれくらい経ったのか忘れてしまったけれど、皆で1階の外来待合いにあったテレビをよく見に行った。「名犬リンチンチン」というシェパード犬が登場する、騎兵隊?か何かのドラマで、夕方の放映だった。
その日も、テレビを見ていたら、お相撲さんが一人、ポツンと座っていて、おそるおそる声を掛けてみた。名前は何というのかときいたところ、「きたばやまでごんす」と応えてくれた。このゴンスという言い方が、僕らの間では強烈な印象として残った。その日、中学生の男の子に頼んで、『大相撲』という雑誌を売店で買ってもらい、皆で「きたばやま」を探した。するとまだ幕下か何か、下の方に「北葉山」という名前を発見した! それ以来、ずうっと北葉山を応援した。
後日、北葉山は幕内に上がり、テレビでその顔を見ることが出来るようになり、とても地味な力士だったけれど、あまり大勝ちはしないけれど負け越しもしない力士だった。若乃花に勝って大関にまで昇進した時はとても嬉しかったものである。 今はどうされているのか解らないけれど、入院中の忘れられない思い出の一つだ。名犬リンチンチンと北葉山、売店、テレビ、昭和32年の春頃かなあと思う。時期はとても不確かで、自信はない。
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