最初の病院
最初に学校の紹介でタクシーで連れて行かれた病院で、僕は意識が無くなって、気がついたら病院のベッドに固定されていた。左腕は紫色に腫れ上がっていて、天井の方から付けられた紐にその腕は固定されていた。古色蒼然たる建物のように思われ、全体にチョコレート色で、焦げ茶色にくすんでいたように思う。(実際はもっと明るかったかも知れないけれど…、僕の印象では暗い、陰気な空気が漂っていたように思われる。)高熱が続き、痛みとの戦いだったように思う。断片的に色んな場面が浮かんでくる。
ある時、その病院での主治医の先生らしい大学病院の先生が来られて、天井から吊られた僕の腕を見て、すぐに吊していた紐をハサミで切り、ひどく怒った顔で主治医に何かを注意していた。上を向いて寝ていると、左腕の置き場に困る状態だったので、吊すのも仕方がないかと思っていたけれど、一方で、天井からぶら下げていたために、左手の指の感覚が無くなっていて、凍傷が崩れて指の骨が露出するような惨憺たる状況でもあった。
その日からどの様な治療方針になったのかわからないけれど、日に日に症状は和らぎ、入院2ヶ月目くらいからベッドに起き上がる練習、そして歩行練習をした。一方で、骨髄炎を発症していて、腕を切断せずにこのまま放置すると生命が危険であると親は聞かされていたようである。僕自身はそんなことは知らずに、動けるようになったことが嬉しく、2階建ての病院内を探検して歩いたものである。
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