思い出に残る本たち2
『もの言わぬ農民』
大牟羅良著『もの言わぬ農民』(岩波新書) この本も、『追われゆく…』と同じように衝撃を受けた本だった。同じ著者の『あの人は帰って来なかった』(岩波新書)も、岩手県と言えば宮澤賢治や啄木を思い出すくらいだったけれど、旅行者にはおよそ想像もつかない世界がそこにはあるのだと思わせられた本である。戦争が「名もない市井の人々」1人1人にどの様な深刻な影を投げかけたか、にもかかわらず理不尽さに抗う事もせずに耐え忍んで生きる人達がいることを、僕は10代の後半にこれらの本を通じて知った様に思う。
僕は仕事の関係で、この本を読んで、多分30年以上経って時々岩手を訪ねる機会がある。奥中山から行き、泊まった七時雨(ななしぐれ)という高原が特に気に入っている。
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