僕は学生時代お金が無くて、喫茶店とかにほとんど入ったことがなかった。大学院に籍を置いてからは奨学金が増え、バイトの収入があると喫茶店にも行くようになった。奨学金の使い方については批判もあるかと思うけれど、当時月13000円の奨学金(学部では、自宅通学生の特別奨学金は5000円だった!)は本当にありがたかった。 京都の出町柳にあった龍月堂?という喫茶店は良く入った。前方に大きなステレオスピーカーが備えてあって、リクエストした曲(クラシック)をかけてくれる名曲喫茶店で、一曲が長いから、自分がリクエストした曲が流れるまで随分時間が必要で、その分平気で長居が出来た。スピーカーに向かって放射状に席があって、一人づつ座るようになっていて、各テーブル(二つの座席の間に仕切りがあって、その仕切りの上に灯りが付けてあった)で本が読めるようになっていた。このおかげで、ここで良く本を読んだし、居眠りもした。あの頃、僕には沢山時間があった。
この他に、銀閣寺の近くにゲーテという名の名曲喫茶にも一人でちょくちょく行った。河原町三条近くの裏窓という喫茶店(名前からも大人の雰囲気だった)にはサークルの先輩によく連れてもらって行った。タカラジェンヌの様な格好?の袴姿のウエイトレスの人たちが働いていた。三条柳馬場にあったイノダにはサークルの皆とワイワイと出かけた。これらのお店が今ではどうなっているのか知らない。イノダは京都駅の地下街にも店が出ていて、高齢の男性を多く雇っている店として有名なようだ。
最近は、おしゃれなカフェと呼ばれるお店が沢山出来ている。禁煙の店が多くてありがたい。けれどもついつい喫茶店の方に足が向いてしまう。たばこ臭くて、ドヨ~ンとした空気が漂っていて、スポーツ新聞や漫画が置いてあって、おじさん達が時間をつぶしている。僕がそこに加わっても何の違和感もなく背景に溶け込むことができる。その内「暇な爺さん」として出入りしそうで怖い。
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