永観堂は、境内に幼稚園があって、裏山の丘にある多宝塔からの眺めの良いお寺で、紅葉の名所でもある。就職して、最初の勤務地が大阪だったのだが、秋に「恒例の?」紅葉狩りを新人が企画して案内するということになっていて、僕は迷わず永観堂へ先輩達を案内した。その時も幸いにも紅葉真っ盛りで、簡単に言葉で言い表せないほど綺麗で、皆さんとっても満足して下さった。
南禅寺から永観堂へ行く途中に湯豆腐のお店があって、学生時代の僕たちにはお金が無くて、とても入れないお店だった。後年、アメリカからのお客を案内して、奥丹?という店に初めて入った。とてもリーズナブルな値段で、特に高級という雰囲気でもなかった!!! 雰囲気も、価格も、もちろんその味も、お客はとても満足そうだったし、僕も満足した。
そう言えば、あの時、アメリカ人のお客はお母様を亡くされてまだそんなに日が経っていない時だったらしく、知恩院へ案内した時、本堂で正座をして黙想し、いつまで経っても動こうとされなかったことを思い出す。キリスト教徒の教授だったけれど、初めての日本旅行で、浄土宗の大寺院の持つ独特の雰囲気に浸りながら、母を思って動けなくなっておられたようだった。僕たちがヨーロッパを旅して、巨大な礼拝堂で思わず緊張するのと同じ心境なのだろうと思う。ウプサラの大聖堂で、エルフルトの大聖堂で、リンショピンの大聖堂で、僕は声をひそめて黙想したことを思い出す。
永観堂は、季節によっては?境内で、抹茶や甘酒を床几に腰掛けていただくことができたと思う。幼稚園もあるので、普段着の気分でブラリと訪れることができるお寺だった。
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