入院中に、「寝たきり」の状態の時がかなりあった。ベッドに固定されて動けない状態で、背中やお尻に褥瘡ができて、「痛痒い」ことこの上ない状態だった。今ならもっと上手な介護の仕方があると思うけれど、当時は「仕方がない」と済まされていたのだと思う。
寝たきりの時、長い一日をじっと天井を見て過ごすことになる。前にも書いたけれど、最初の病院は全体に薄汚れていて、天井にもシミがあった。母が手鏡で窓の外を見せてくれたりしたが(この病院の窓は、普通に全開させられない窓で、下に付いている取っ手を外へ押して開くというタイプのすり硝子の窓で、寝たきりでは全く外が見えなかった)、ほとんどの時間は天井を見て過ごしていた。天井のシミの形や、仕切られた四角の大きさに微妙に違いがあるような気がして、毎日毎日その四角の数を数えていた。 転院先の病院は、天井まで透明硝子の窓が大きく開いていて、夜は白いカーテンが閉められたけれど、窓の外の木々の揺れる様が天井に影絵のように映し出されて、変化に富む天井模様だった。 後に自宅でも時々風邪を引いたりして寝込んだ時はいつも天井の板の数を何度も何度も数えることが癖になったが、これはきっと寝たきり体験の「後遺症」なのかも知れないと思う。
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