僕は藤沢周平のファンの一人だ。これまでも書いたかも知れないけれど、昔は山本周五郎を乱読した時があった。…あの頃は自由な時間が沢山あった。今はあまり自由な時間がないので、細切れに、時間があれば文庫本を読んでいる。特に移動の時は気分転換に小説類を読む。
藤沢周平の時代小説は、登場人物の心理描写が秀逸で、ただただ感服させられる。自分の現実世界から一気に逃避できるので、本当にありがたい。これほどの分量の小説を書き続ける生活とは一体どんなものなのか、想像もつかない。読めば読むほど、自分自身の凡人さがあぶりだされる(;一_一)
『虹の空』という短編は、新潮文庫の『霜の朝』という一冊に収録されている。江戸時代の庶民の暮らしが、よくもここまで計算して書けるなあと思わせられる。心にくいばかりの場面設定で、氏が頭の中に思い描かれたであろうストーリーが、結末への一歩一歩が綴られていって、“いかにも作り話”という終わり方なんだけれど、悔しいけれど「ジンとくる」。「来てしまう!」 本当に負けました! という読後感なのである。
多作の作家には当たり外れがあるように思うけれど、藤沢作品にはあまり「いい加減な」作品にはまだ出会っていないように思う。
多作な作家の小説類で僕が結構読ませていただいたのは、遠藤周作、山本周五郎、浅田次郎、松本清張、新田次郎といった人々か。多作とも言えないけれど、高橋和巳や野坂昭如も良く読んだ。今、寡作の飯嶋和一の次の本を待ち続けている!(^^)!
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