田 英夫さんが亡くなった。
僕が大人になって初めて東京にやって来たのは1971年でした。その時、5月中旬から7月初めの約7週間、湯島の宿舎に滞在したのですが、休みの日にはあちこち出かけて見聞を広めました。
ある時、新宿の「歩行者天国」という所へ行ってみました。その日はとっても暑い日だったと思うのです。多くの人がブラブラと歩いて休日を楽しんでいる中に、演説をしている人がいて、そのお話の内容の細部は覚えていませんが、とっても心引かれる内容で、かなりの時間耳を傾けました。背の高い紳士の説得力のあるお話は、その一つ一つが「なるほど」と納得させられるものでした。この人が国会議員として存在しておられれば、この国はすぐには変な方向に行くこともないだろうと思わせられる内容でした。
姿勢が良く、背の高い、白っぽい洋服を着た、理路整然と話される、平易な言葉を使うこの紳士が田英夫さんでした。国会中継でも、テレビに出演して話されている時にも、新聞に寄稿されている文章を読んだ時も、新宿の「歩行者天国」での演説時の様子がいつもダブって見えていました。
この様な人にはもっともっと長生きをして発言を続けてほしかったなあと思います。86歳という、人生を全うされたと言える年齢ではあるけれども、残念だと思います。
……
今、新聞の記事を見ると、1971年6月27日に参議院議員の選挙があって、田英夫さんは、当時の全国区で192万票を集めてトップ当選を果たされたらしい。ということは、僕が歩行者天国で田さんを見たのは、ひょっとしたら選挙演説中だったのかも知れない。僕の記憶はその点は不確かなもので、どうだったかはわかりません。
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