入院した当初、僕は部屋を出ることが禁じられていた。この病院へ移る前の病院ではベッドで寝たきり状態が続いていて、褥瘡が出来たりしていたので、ベッド上での暮らしにある程度慣れてはいたのだけれど、一旦ベッドから降りて歩く練習を積んで、歩けるようになってからは用を足すときは便所に出かけていたにもかかわらず、この病院では再び大小ともにベッド上で用を足すようにと指示され、これには閉口した。前の病院では付き添ってくれていた母親が手伝ってくれていたのだけれど、この病院は完全看護とかで若い看護師さんが手伝ってくれることになり、寝たままで便器に大小の用を足すことは、羞恥心も手伝って非常に苦痛であった。「その時」はカーテンが閉められ、隣の部屋からは見えないようになるのだけれど、隣の女の子はきっと自分が用を足しているのだろうと想像しているに違いないと思うと、本当に便が出なくなってしまった。
そのため、よく浣腸をされた。これは普通の排便よりももっと苦痛だった! 自分の出す音、出した臭い、これを狭い部屋の中で体感させられるのはとても苦痛だった。どうして排便ということをしなければならないのだろうかと人間であることをうらんだものである。
少し状況が読めてくると、こっそりと部屋を抜け出し、直ぐ近くのトイレで用を足した。直ぐに看護師にばれて叱られたけれども、何度もルール破りをしてトイレに行った。その内、いつ頃かは忘れたが、割と早い時期からトイレに行っても良いという許可が出た。とてもハッピーだった。
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