入院していたときに、トランプが流行っていた。特にナポレオンというゲームばかりやった時期があった。看護婦さんも一緒に加わって、大人数で、何度も何度も飽きもせず繰り返した。
女の子達の中には、細いカラフルなビニール紐?を編んで、色んなものを創る遊びが流行っていたこともあった。また毎日飲む牛乳の蓋を集めたり、蓋の上に輪ゴムで止めてあった正方形の薄紙?も集めて、沢山の鶴を折ったりした。
病室の窓側に狭い通路があって、消灯後はここを使って離れた部屋と行き来した。もちろん、看護婦さんに見つからないようにこっそりと。絵を描いたりするときに使っていた半円形の部屋には非常階段の出入り口があって、この階段もコッソリと使って、あちこち探検した。病院の建物は複雑で、少年達の探検心を十分満足させてくれた。前にも書いた、屋上にあった「紀元二千六百年」という碑は僕には不気味な存在だった。屋上から遠くの花火大会の花火を皆で見たことも思い出す。僕の入院していた時期の記憶は間違っているのかも知れない。
ある時、同じ学年の可愛い、お腹がぷっくり膨らんでいた女の子(名前は忘れてしまった(-_-;))が退院していくことになり、彼女が僕に、先のビニールで作った幅5㎝くらいのカラフルなベルト?を、僕の部屋に入ってきて手渡してくれた。「またお見舞いに来るね」とか何とか言われてドキドキしたけれど、その後一度もお見舞いには来てくれなかった。彼女の住所なんかも知らなかったし、今では名前も忘れてしまった。
コメント