僕は、山田風太郎という人の作品をこれまで一度も読んだことはなかった。
なのに、本屋で立ち読みをしながら4冊も文庫本を買ってしまった!
『地の果ての獄』上(ちくま文庫)、『人間臨終図巻』Ⅰ、同Ⅱ、同Ⅲ(徳間文庫)の4冊だ。
『地の果ての獄』は、明治の中期に「愛の典獄」と呼ばれた有馬四郎助を取り上げたもので、原 胤昭や留岡幸助等と共に僕には「気になる人物」の一人だった。
他の3冊は、内外の著名人の臨終の様がその死亡年齢順に並べて記されている不思議な本である。この「臨終図巻」、例えば四十七歳で死んだ人々の項には、ネルソン提督、新島 襄、川上音二郎、小山内 薫、アラビアのロレンス、夢野久作、コルベ神父、カミユと、古今東西の人物が何の脈絡もなく、亡くなった西暦順に並べられていて、これが一冊約500頁にわたって淡々と記されており、それが3冊続きになっていて、ただただ圧巻である。
山田風太郎と言えば忍者もの、というイメージしか持っていなかった僕としては大発見だった。この様に、予定外の本に出会うのは、ネットで本を購入しているだけだとなかなか難しく、やはり本屋でブラブラと時間を過ごすという恵まれた環境に住んでいるおかげだと思う。その分、無駄遣いも多くなるのだけれど…。昨年、山口県の高校の先生が、ネットを通じて本を購入することが出来て便利になったけれど、一方で、「地方都市にいると大きな本屋さんが無くて、本屋であれこれと本を探す楽しみが味わえない」と嘆いておられた気持ちがよくわかる。
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