政治家と役人の違いは何だろうか。役人は決められたことを忠実に履行する専門職だと思う。役人は、多くの法律や通達、通知や先例を根拠に、制度を具体的に動かしていく役割を担っている。有能な役人の存在は、その国の、あるいはその地方の人々の安寧な暮らしにとってとても重要なことである。役人は、過去と現在を大切にする役割だとも言える。
一方政治家は、先例や通達にとらわれずに新しい解釈や考え方を示して、5年先10年先、100年先を見据えてビジョンを提示する役割である。そういう点で言えば、政治家は未来に責任を負っている存在である。
ところで、役人の懐で活躍する「政治家」、役人の描いた「未来」を目指そうとする「政治家」の代表が野田総理大臣のように思う。「政治生命を賭ける」と言って、役人の描いた絵図を忠実に履行しようとされているように思えてならない。この人は「政治家」であって政治家ではない。この人に、この人を取り巻く集団に、日本の未来を託したくないと強く思う。
一方で、自民党の人たちにも言いたい。現在民主党政権が直面している多くの重要課題は、自民党時代の「負の遺産」とでも言えるものばかりのように思える。そのことに一言の反省の弁も、謝罪の弁も無く政権交代を目論む連中の言をとても信用する気になれない。これは、この国の悲劇的な一面だと思う。
「原子力村」と呼ばれる集団に群れる人たちの、利権をベースにしたブラックなパワーが、この様にいまだに強固なのだとつくづく思わせられる。この様に甚大な被害をもたらしてもなお政策転換が出来ない原子力政策、これから先時間の経過と共に、ますます方向転換が難しくなるのではないかと思えてならない。それにしても野田と言う人のお粗末さは目を覆うばかりである。
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