すずらん
小児科病棟に入院していると、時々“慰問”の人達がやってくる。慰問という言葉も当時は知らなかったと思うけれど、何だか古い言葉だと思う。
ある時、皇室の「○○の宮様からのお見舞い」と言われて、北海道のすずらん…花束だったか鉢植えだったか…小さなものだったので花束だったように思うけれども…をいただいた。毎年恒例になっていると説明があった。動ける者は食堂に集まって、日航のスチュアーデスの人が笑顔で皆に配ってくれた。すずらんというものを名前は聞いて知っていたけれど、実物を見るのは初めてで、とても可憐で綺麗な花だと思った。
♪「僕らの病院、明るい病院、みんなでそろって治そうよ、みんなの病気を 治そうよ、治そうよ」という歌をこの時みんなで歌ったように思うのだけれど…。記憶違いかも知れない。
当時僕は“ボーイソプラノ”できれいな声だと言われていた(^_^;)。高い声が出るので、島倉千代子の歌をよくリクエストされて、渋々、でも実際は誇らしげに歌っていた様に思う。いろんな慰問があった様に思うが、今思い出すのはこれだけになってしまった。きっとスズランの花が記憶を支えていたのではないかと思う。
最近は病院ボランティアが盛んで、その活動分野も多岐にわたると言われている。病院の評価基準の一つに、ボランティアの育成や活用がどの程度されているかという基準もあるらしく、各病院の知恵の出し合いのような様相を呈しているらしい。50年前はどうだったのか僕にはわからないけれど、“慰問”は確かにあったように思う。
コメント